グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



地域連携

障害者福祉のPRと人材確保



事業概要

連携自治体 事業名 主な担当教員 所属学科
焼津市 障害者福祉のPRと人材確保 楢木 博之 福祉心理学科
現状、障害福祉サービス事業所の人材不足が深刻となっており、障害者が必要とするサービスを十分に受けられないことが課題となっています。そこで、市民の方々に福祉の現状や仕事の魅力を知ってもらい、障がい福祉に携わる人材を確保するための案を、焼津市と協働して考えるという依頼を受け、本事業を行っています。

今年度は、障がい福祉で働く専門職の仕事の魅力を知ってもらうために、インタビューを行いました。障がい福祉の専門職は、働いてからキャリアアップできる職業になります。障がい福祉の現場で働く人がどのようにキャリアアップをしているかの背景及び方法、プラスになったことなどを聞きましたので、紹介します。

インタビュー1

虹の家 サービス管理責任者 片岡信明氏

Q1.この仕事を選んだきっかけは?

大学の時は、外国の文化に興味があり短期で留学に行き、語学、文化を学んでいました。外国で生活すると、日本の常識にとらわれることなく周囲の目を気にせず解き放たれた感じになったのを覚えています。
学生時代に、軽度の知的障がいを持った方と少し関わりがあり、それをきっかけに興味を持つようになりました。焼津市に知的障がい者の施設があることを知り、受けてみようという気持ちになり、ご縁をいただき焼津福祉会で働くことになりました。

Q2.どのようにキャリアを積んできたか?

私自身、福祉専門の分野の大学に行っていたわけではなく、まったく違う分野の大学を卒業して福祉の世界に飛び込みました。もちろん専門的な知識がなかったため、先輩に聞いたり、研修に行ったり、本を読んで勉強しました。良い上司、先輩に恵まれたため、素直に聞く、相手の考えを否定せず取り入れ、良いところは自分のものにするということを特に意識していました。そして、障害者支援施設「大井川寮」に9年勤めさせてもらい、生活介護「虹の家」に異動しました。異動して10年「虹の家」に勤務させてもらい、そのうちの6年間サービス管理責任者を務めさせてもらっています。

Q3.キャリアアップを考えるようになった理由は?

30代になった頃、ある程度経験を積み、知識もついてきた中で自分のできることをもっと増やしたいと考えていた時に、法人からサービス管理責任者の研修を受ける機会をいただいて、資格を取得させてもらいました。

Q4.キャリアアップをしたことで自己のプラスになったことは?

仕事の幅が広がったので、できることも増えました。そしてやらなければならないことも増えたので、またそこで新たに自分の力不足な部分に気づき、もっと知識をつけなければならないと改めて自分自身で認識できました。次に自分のどこを高めていったらいいのか具体的な目標ができました。
サビ管は、地域の機関、社会資源を理解し、関わり(繋がり、パイプ)を大切にしなければなりません。そうして日々仕事をこなしていく中で、支援の引き出しが増え、視野もそれなりに広くなったと思います。このような点もプラスになったと思います。

Q5.障がい福祉の仕事の魅力は?

利用者さんは、“個性”があり反応は一人ひとり違いますし、言葉で伝える、理解することが難しい方もいます。支援には“絶対にこうすれば間違いない”という正解がないと思うので、支援者1人1人がどうすれば正解に近づけるか、導き出せるか考えることができるというのが魅力のひとつかなと思います。
また、“その方の人生に関わらせてもらっている”という部分ですかね。折角、関わらせてもらっているので、私だったらやはり楽しんでもらいたいと思っています。一人の方の人生に携われるというのは、すごく魅力的だと思います。人と人との関わりは、毎日同じではなく、その日の機嫌、調子もあり、それによってこちらも関わり方を変えていかなければならないし、こちらの関わり方で相手にも変化があります。日々変化のある人間同士の関わりが魅力であり、私の楽しみでもあります。

Q6.福祉職を目指す人へのメッセージをお願いします。

できないことや分からないことをそのままにしないことで、自分自身少しずつ成長し、それを積み重ねていくことでキャリアアップできたかなと感じています。
なかなか学生のうちに自分のキャリアプラン、理想像を思い描くことができない人もいると思います。それでも私のように、まったく福祉と関係ないところから飛び込んできても自分の考え方や、やり方次第でキャリアアップできる職業だと思いますし、キャリアアップできる環境が整っている職業だと思うので、どんどん福祉の仕事に飛び込んで来てもらいたいです。

インタビュー2

大井川寮サービス管理責任者 西井雄也氏

Q1.この仕事を選んだきっかけは?

大学時代に実習を障害者の授産施設で行ったのですが、それがとても楽しかったので、それがきっかけになりました。一緒に散歩行ったり、作業したり、ご飯を食べたり、積極的に話しかけてくれたり、そういった関わりがすごく楽しかったです。こんな楽しいことが仕事になるのだったらすごくいいなと思い、この仕事に就きました。

Q2.どのようにキャリアを積んできたか?

入職後6年間は、当時でいう通所授産施設で勤務し、現在の大井川寮に異動しました。大井川寮では支援員を8年間行い、9年目にサービス管理責任者として業務にあたっています。支援員をしている時に、サービス管理責任者の研修を受けてみないかと声をかけられて、自分でも「是非、受けてみたい」と思い、研修を受講し「サービス管理責任者」という資格を取得することができました。

Q3.キャリアアップを考えるようになった理由は?

支援員として働いていた時に、前任のサービス管理責任者の業務を見させていただいて、自分もいつかはそのポジションで働きたいという思いはありました。なので、常にそのサービス管理責任者として勤務している方のやっていることにアンテナを張りながら見させていただいて、いつかは自分もその立場になってそういった業務をやりたいとは思っていました。施設のために、利用者のために、職員のために、職員間等の連携ができるような役割を担いたいと思い、それができるポジションを目指すようになりました。

Q4.キャリアアップをしたことで自己のプラスになったことは?

仕事が楽しくなりました。自分の希望していた思いを仕事につなげられるところに、チャンスにはなったと思いますし、やりがいを感じています。サービス管理責任者になって、さらにやりがいを見出せたというのと、仕事がすごく楽しくなったというところです。支援員の頃は、利用者に直接支援を行うのですが、サービス管理責任者は、個別支援計画の作成や職員間との連携、ショートステイの受け入れ対応など、全体的な支援の責任者ということで、サービス提供の細かい部分を見ていく仕事になります。キャリアを積んでから勉強していったので、学んだことが現場で体験したこともあるので、知識を落とし込んでいく方法としては良かったと感じています。

Q5.障がい福祉の仕事の魅力は?

キャリアアップするという希望がありました。だからこそ、自分が実際その立場になった時にどう振る舞うとか、どういった感じになるのかというイメージは割と持っていました。あと、常に前向きな考え方、プラスな行動や発言を心掛けるようにしていたと思います。もちろんそれに伴って、知識とか技術とかもつけていかなければならないかなと思いますので、業務の中で知り得た情報や知識は自分の引き出しにしっかりしまえるような意識も持ちました。それを実際に活用してさらに覚えていくことによって自分の中にしっかりと落とし込めたと思いますので、やはりいろいろな部分に高いアンテナを張って意識していくというのが重要になってくるのかなと思います。日々の努力はしていかなければならないかなと思います。

Q6.福祉職を目指す人へのメッセージをお願いします。

今後、福祉の仕事を目指す人には、実習やボランティアなどを体験してもらって、実際の楽しさを知っていただければと思います。障害者の方と関わるのが楽しかった、今までのイメージと変わってすごくプラスなイメージに思えたなら、きっと、この仕事が向いていると思います。もし目指している方、やってみようかなと思っている人がいたら、まず実際に足を踏みこんでみる、実際に関わってみる、体験してみることをやってほしいです。それらが楽しければ、おのずと仕事も楽しくやれるのではないかと思います。もちろん楽しいことばかりではなく、大変なこともありますが、やりがいにつながるので、大変なこともきっと乗り越えられます。やはり、人と関わることは楽しいことなので、対人援助の仕事は本当に楽しいと思います。

インタビュー3

焼津市基幹相談支援センターCOCO 富永直樹氏

Q1.福祉の仕事に就いて良かったことは?

浜松市にある社会福祉法人で21年勤務し、今年から現在の職場に転職しました。この21年間で、いろいろな人の生活や価値観を知ることで、人間性が豊かになったと感じています。そこに「福祉の仕事の魅力」を感じてきました。 いろいろな人に支えられて今の自分があること、自分の力で成長したわけではなく、いろいろな人と関わり、いろいろな人に頼って今があることに気づいた21年間だったと思います

Q2.働きながら社会福祉士・精神保健福祉士を取得した理由は?

入社3年目ぐらいに、社会福祉士を取得するきっかけがありました。当時、理系大学卒の私は法人内のIT整備関連の部署に配属されており、相談支援業務に興味がありました。そこで、社会福祉士の資格取得をすれば、施設の相談員やれるかなと思って、働きながら通信教育を受けて社会福祉士の取得を目指しました。なお、そこで教わったのが対人援助技術で、「話をきちんと聴きましょう」「受容しましょう」「共感しましょう」というのを学んで、人との向き合い方が変わったと感じます。働きながら資格を取れたというのは大事かと思います。
精神保健福祉士は、入社7年目に法人からの出向で東京都にある全国社会福祉協議会へ行きました。そこで、精神障害者の方の精神科への長期入院の問題があるというのを初めて知りました。精神障害者の置かれている現状を初めて知ったことが、勉強しようと思ったきっかけです。

Q3.現在の仕事の魅力は?

現在の自分の役割は、行政の方と関係を作っていく中で、官民協働で焼津市障害福祉をより良くしようか考えることです。ご利用者等・事業所・行政との間にいる立場なので、 そういった部分では現場のことも知れるし、行政と一緒に作り上げて、焼津市の変化を見たり、感じられたりする立場でもあるので、そういったところが楽しみというか、やりがいだと思っています。現場にいると利用者の変化や生活の変化は見ることができ、行政の近くにいると焼津市全体を包括的に見ることができます。今はその両方が見えるので、足りないものをどう作ろうか、どういう風に人を育てようかというのを一緒に行政と考えられるので、そういった部分も楽しみであり、やりがいになっています。

Q4.障がい福祉の仕事を続ける上での原動力は?

変化があるということが一番かなと思っています。それはご利用者本人だけではなく、関係するチームや地域の変化もあると感じています。ご利用者本人の変化という点では、生まれてから死ぬまでのライフステージの中で必ず変化はあります。
また、ご利用者本人のライフステージによって、関係するチームが変化するというのもあります。例えば、子供の頃であれば、子供に関係する幼稚園や事業所がチームになっていきます。 それが、大人になってくると、成人の施設や多機関との関わりも増えてきます。このように変化が起こってくるのが目に見てわかるし、関係する機関が多くあるので、チームで一緒に考える視点がすごく大事になってきます。個人の変化がチームの変化を生み出すし、チームの変化が社会の変化を生み出すみたいな感じのところが障がい福祉ではあると思います。そこはすごく魅力的かなと感じていて、この仕事を続ける原動力になっています。

Q5.現在の仕事で意識していることは?

常に思っているのが、「相手を変えるのではなくて、自分が変わる」ということです。 相手を変えるのだとやはり大変なのですけど、自分が変わっていく中で、自分の見え方とか見せ方を変えていくことによって、相手が変わることがあると思っています。相手をガミガミと注意して、「これがダメ」「こうしろ、ああしろ」と変えるよりも、自分がこうやっていった方がいいと思う部分があります。大事なのが、こう相手や社会を変える前に、まずは自分の動きを変えていく。そうすると自然に変わっていくものがあるのかなと思っています。

Q6.福祉職を目指す人へのメッセージをお願いします。

福祉職は今までの自分の価値観を「0」にしてくれて、また新しい世界が見えてきます。また、相手目線で物事を考えるきっかけになるので、自分の人間性をとても高められる職種だと思っています。自分を高めたい、少し悩んでいるという人がこういった世界に入ると、より自分自身を見つめ直し、改めて新しい自分を見つめるきっかけになると思います。そこはやっぱり福祉職の魅力かなと思うので、特にやりたいことが決まってない人であっても、やろうと思っている人であっても私たちの生活というのは、誰もが関わってくることなので、このようなことを体感できるというのは、すごく良いことだと思います。なので、気軽にこの世界に入ってきてほしいですね。

インタビュー4

インフィニティJOBスタイル 近江なほみ氏

Q1.現在の仕事に就いた経緯

就労支援事業所で働く人たちの工賃では、障がいを持った人たちが自立した生活をおくることができないことを知り、ショックを受けました。そこでいろんな企業を紹介していただいて、障がいのある方たちにできる仕事を紹介してもらうということを始めました。その後、焼津市に相談して就労支援事業所B型を紹介いただいて、事業所を5年前に立ち上げました。また、自立へのサポートをもっと小さいうちからやっていかないと、彼らが実際に成人して仕事するとなった時に路頭に迷ってしまって苦しい思いをするのではないか、ということもあって、放課後等デイサービスを3年前に始めました。
実は全く福祉のこともよく分かっていなくて始めたということもあるので、皆さんよりも知識がない状態から始めて、ただただ何とか障害のある皆さんが生きやすい世の中になってほしい。
彼らのことを受け入れてくれる人が1人でも多くなってほしい。そして「一緒にお仕事をしよう」と思ってくれる人が1人でも、それから一企業でも増えてもらいたいなということを思いながら、私たちに何かできることはないかなということで始めたのが経緯になります。

Q2.働きながら資格を取得した理由

福祉に全然携わっていなかったので、資格を取得するのに学校に行ったり、福祉のキャリアを積むことを私は全然してこなかったものですから、放課後等デイサービスをやり始めてから、やはり子どものことについてきちんと知識がないと難しいなということもあって、1年間独学で勉強して保育士を取得しました。
働きながら保育士を取るというのは実はかなり大変でした。その時は必要性があるなと思ったのですが、ちょっと意地もありました。私だって保育士取れる。本当にそういう気持ちがあって、子どもたちのために何かしたいよという意欲、気持ちがあれば取得は可能だということを職員にも見てもらいたかったとこともあって。最初に私がやるべきだなと思って資格を取得したということです。

Q3.キャリアアップをしたことで、自分のプラスになったこと

いろんな人たちとつながることです。福祉の関係だけではなくて、たくさんのいろんな業種の企業や、農業をやっているところ、行政などいろいろな人に会える。このような仕事をしているといろいろな方たちとお会いする機会が増えます。私たち経営者は「人脈」というのですが、「人脈」がとても増えるのです。そこでお互いの信頼関係が築けたりとか、お互いのことを高め合ったりとかすることができます。
それから障害のある方たちの理解を社会に広めるという意義が、話をすることで多くの人たちにそれを知ってもらうことができるのです。例えば会社の社長にそのことを知ってもらうと、すごく波及が大きいので。自分の従業員、それからその社長の人脈にまた働き掛けてくれるので、理解がすごく深まっていくのではないかなと思っています。
キャリアアップして自分にプラスになったのは、大切な人脈、人とのつながりが得られたということが、一番だと思います。

Q4.キャリアアップをする上で、必要なことは?

圧倒的なコミュニケーション力を付けることがすごく大切です。コミュニケーション能力を高めるために何があるかなって思うと、やはり人に対しての偏見を持たないということがすごく大切で、福祉の最重要な、核になってくるところだと思うのです。やはり障害があっても、それから国籍が違っても男女別でも、今はさまざまな人がたくさんいるのですよね。そういうことにも偏見を持たない。それから年配の人でちょっと堅物で意固地になっている人に見えたとしても、そこにも偏見を持たない。そして若い人たちにも、「今の若い人は」と思わずに、やはり興味を持って、あなたたちは今どんなことを考えているのか、先生は今どんなことをしたいと思っているのかなということを、興味深く聴くというのがすごく大事です。
私たち職員が大切にしているのは「傾聴」です。まずは相手の話をしっかりと聴く。否定をせずにまずは聴いてみる。それで自分の考え、思いと少しすり合わせてみる。それで自分の感情がいろいろなことが湧いてくると思うのですよね。それをきちんとした日本語で適切な声のトーンや、適切な表情で相手に伝える。相手に受け入れてもらえるような話の仕方で言うということ、すごくテクニックがいるのです。この人がすごく人がいいからこういうことができるのだよというのではなくて、実は生きていくためのテクニックになります。

Q5.キャリアアップを考えた理由は?

勉強しながら業務を行っていると見えることがあります。子どもたちの行動や言動の理由が勉強すると明確になる、クリアに見えてくるという体験を私がしました。となると、勉強するの結構楽しくなるのですよね。毎日子どもに向き合いながら実践ができるわけですよね。この年になってもやはり自分が必要な勉強というのは続けていかなければいけないということもあると思っています。
私はペアレントトレーニングというものも受けています。放課後等デイサービスは子育てをするお父さんお母さんに対しても、子育てのサポートをするというのが大切な仕事の一つです。子どもたちを見ていくに当たって、子どもの家の環境を無視してはできない状態になります。必ず、子どもたちの背景にはどういった所に住んでいて、どんな親御さんで、どのように暮らしているかということが、はっきりと前に見えてくるのです。だからこそ親御さんたちに、「こういう時にはこんな声掛けをしてみたらいいかもしれない」などと、視点の切り替えを促すというのがペアレントトレーニングの内容になっています。このようなことができるように、学び続けています。

Q6.福祉職を目指す人へのメッセージをお願いします。

AIができることによって衰退していく仕事もあると思います。ただ、この福祉の業界に関しては、やはり人は人でしかやれない仕事なのです。実際にこうやって人と会って、子どもたち、利用者さん、大人の人たち、それから行政もそうだけれども、やっぱり人と会って、人でしかできないです。
障がいのある人たち、それから介護も同じだと思いますが、やはり人は人でしか癒やせないと思うし、人が人でしかサポートできないことが多くあると思います。なかなか大学を卒業しても、福祉職にそのまま行くことに躊躇することもあると思いますが、私たちは皆さんが福祉業になっていくことを、企業の人間からしてもとても望んでいます。今後なくならないこの仕事を、未来に期待しながら、ぜひ就職してもらえたらなと思っています。
  1. ホーム
  2.  >  地域連携
  3.  >  地域連携
  4.  >  活動実績
  5.  >  障害者福祉のPRと人材確保